別ページにて単相半波整流回路の動作原理を紹介しました。ここでは、Simscapeを用いて、動作原理のとおりの挙動を示すのか確認します。
単相半波整流回路のシミュレーションモデルとシミュレーション結果
Simscapeで構築したシミュレーションモデルを図1に示します。交流電源、ダイオード、負荷抵抗から構成されます。また、電源電圧と出力電圧を測定します。

このシミュレーションモデルを実行すると図2のような結果を得ることができます。電源の交流波形に対して、交流波形のプラスの部分のみを切り出した波形を出力します。これが、単相半波整流回路の基本動作となります。

出力波形は入力信号の正の部分のみを切り出している
出力コンデンサを追加した場合のシミュレーション結果
先ほどのモデルの出力電圧を直流とみなすには波形がいびつなため、出力側にコンデンサを設けます。コンデンサを追加したモデルを図3に示します。コンデンサの値としては50mFを与えています。また、コンデンサに流入出する電流を測定します。

このモデルにてシミュレーションを行った結果が図4、図5になります。想定どおり、コンデンサがない場合と比較して出力電圧は安定になります。しかしながら、キャパシタには、パルス的に電流が流れ込んでいることが分かります。また、この流れ込むタイミングはキャパシタ電圧<=電源電圧の区間が相当します。

出力波形はコンデンサにより平滑化される

コンデンサ充電のタイミングでパルス的な大電流が流れる
出力コンデンサのキャパシタンスを変化した場合の影響
先ほどの例ではキャパシタンスの値として50mFを与えました。このキャパシタンスの値を変更し、半波整流回路にどのような影響を与えるのかシミュレーションを行います。先ほどのモデルに対し、キャパシタンスの値を変更し得られたキャパシタ電流および出力電圧が図6、図7となります。

キャパシタンスが大きいほど出力電圧は平滑化される

キャパシタンスが大きいほど充電電流は大きくなる
出力電圧を確認すると、C=0.1mFではあまり平滑化の効果を得られていません。C=1mFから大きくしていくにつれ、出力電圧が維持され直流電圧に近い形になります。C=100mFまで大きくすれば、電圧リップルはかなり抑制できています。
一方、キャパシタ電流はパルス的に発生しており、Cが大きくなるほどパルスのピークが大きくなります。キャパシタはキャパシタ電圧<電源電圧において充電し、キャパシタ電圧>電源電圧において放電します。キャパシタンスが大きくなることで、キャパシタ電圧>電源電圧となる区間が短くなり、短時間で充電する必要が出てきます。その結果、ピーク値が大きくなっていると考えることができます。
従って、出力電圧を安定にするためにはキャパシタンスは大きくする必要がありますが、一方でキャパシタへの電流も大きくなってしまうという問題が発生することが分かります。
まとめ
Simscapeを用いて単相半波整流回路のシミュレーションを行いました。ポイントは以下のとおりです。
- 単相半波整流回路を用いることで、交流波形を直流波形に変換することができる
- 出力コンデンサを利用することで、直流波形を安定にすることができる
- 出力コンデンサのキャパシタンスが大きいほど、直流電圧は安定するが、流れ込むパルス状の電流も大きくなる。

