双方向コンバータの動作原理

降圧コンバータや昇圧コンバータでは、電源から負荷という電力供給の向きが決まっていました。しかしながら、バッテリーなどにおいては充放電を行うため、双方向の運転が必要となってきます。ここでは、双方向運転を行うための双方向コンバータを考えます。

双方向コンバータの利用ケース

電力変換器が双方向運転することはバッテリー充放電でよくあります。図1は自動車のパワートレインのイメージです。バッテリーからモーターを駆動するために電力を供給する力行とブレーキによりモーターからバッテリーに電力を返す回生運転が行われます。その時、電力が双方向に流れるため、電力変換器としても双方向運転を行う必要があります。

図1 バッテリーとモーターの動作
双方向運転が必要とされる

降圧コンバータと昇圧コンバータ

双方向運転を行うコンバータが全く新しいものかというとそうではなく、降圧コンバータと昇圧コンバータにヒントが隠れています。図2に降圧コンバータの回路図と昇圧コンバータを逆に見た回路図を示します。

図2 降圧コンバータと昇圧コンバータの回路図

降圧コンバータと昇圧コンバータの回路は半導体スイッチとダイオードの位置が異なっている回路とみなすことができます。ダイオードも半導体スイッチの一種なので、ダイオードと同じ挙動をする半導体にしてしまいます。

そのようにして組み合わせた回路が図3になります。これが双方向コンバータになります。このように降圧コンバータと昇圧コンバータをうまく組み合わせることで、双方向運転が可能になります。高圧側と低圧側に大別できますが、パワートレインであればバッテリーが低圧側、モーターが高圧側になります。

図3 双方向コンバータの回路図
降圧コンバータと昇圧コンバータを組み合わせた回路となる

双方向コンバータのゲート信号生成

降圧コンバータと昇圧コンバータのダイオードを半導体スイッチに置き換えることで、双方向コンバータを作りました。それでは、ダイオードに相当する半導体スイッチの動作タイミングを考えてみます。

図4 降圧コンバータの電流経路

図4は降圧コンバータの動作回路です。半導体スイッチがオンの時とオフの時の電流経路を示しています。半導体スイッチがオンの時、ダイオードはオフとなっています。また、半導体スイッチがオフの時、ダイオードはオンとなっています。

図5 昇圧コンバータの電流経路

図5は昇圧コンバータの動作回路です。半導体スイッチがオンの時とオフの時の電流経路を示しています。半導体スイッチがオンの時、ダイオードはオフとなっています。また、半導体スイッチがオフの時、ダイオードはオンとなっています。

これらの回路から、ダイオード相当の半導体スイッチのゲートは、半導体スイッチのゲートの論理反転であるということが分かります。

双方向コンバータの動作パターンと電流経路

双方向コンバータの動作回路は4パターンに分かれます。

力行運転(インダクタ充電)

このモードの動作を図6に示します。バッテリーから電源を供給する場合、昇圧コンバータとして動作し昇圧コンバータのインダクタ充電動作がこのモードの状態です。電流経路は図6のとおりです。

図6 双方向コンバータの力行運転モード(インダクタ充電時)

力行運転(インダクタ放電)

このモードの動作を図7に示します。バッテリーから電源を供給する場合、昇圧コンバータとして動作し昇圧コンバータのインダクタ放電動作がこのモードの状態です。電流経路は図7のとおりです。

回生運転(コンデンサ充電)

このモードの動作を図8に示します。回生電源からバッテリーに電力を供給する場合、降圧コンバータとして動作し、降圧コンバータのコンデンサ充電動作がこのモードの状態です。電流経路は図8のとおりです。

図8 双方向コンバータの回生運転モード(コンデンサ充電時)

回生運転(コンデンサ放電)

このモードの動作を図9に示します。回生電源からバッテリーに電力を供給する場合、降圧コンバータとして動作し、降圧コンバータのコンデンサ放電動作がこのモードの状態です。電流経路は図9のとおりです。

図9 双方向コンバータの回生運転モード(コンデンサ放電時)

まとめ

このページでは、双方向コンバータの利用目的や動作回路について紹介しました。ポイントは以下のとおりです。

  • バッテリーなどでは、双方向運転できる電力変換器が求められています。
  • 双方向コンバータは降圧コンバータと昇圧コンバータを組み合わせたような回路になっています。
  • 運転モードを整理し、電流経路を確認しました。
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