降圧コンバータの動作シミュレーション

はじめに

降圧コンバータの動作原理を別ページで記述しました。 このページでは、Simscape Electricalを用いて、動作確認を行います。 

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降圧コンバータのシミュレーション

降圧コンバータの動作を理解するためにステップバイステップでモデルを作成していきます。どのような考えで、降圧コンバータの回路となっているのか理解します。 

半導体スイッチにより矩形波を生成するモデル 

電源の電圧をチョッピングすることで矩形波を生成し、平均電圧を下げるモデルです。想定どおりに矩形波状の電圧を出力できているか確認します。モデルは図1のとおりです。入力電圧は10V, Dutyは0.5に設定しています。 

図1 簡易降圧コンバータのシミュレーションモデル

このモデルにおいてシミュレーションを実行します。出力波形は図2のとおりとなります。

図2 簡易降圧コンバータの出力結果

想定どおりに矩形波が出力されています。10Vの直流電圧入力に対して、出力電圧は\(10 \times 0.5 = 5 V \)となります。(0.5はオン時間の比率。)これで狙った電圧が出ているので問題ないかというとそういうわけではありません。回路には寄生インダクタンス成分が含まれます。この寄生インダクタンス成分が含まれた場合にどのような影響があるか調べてみます。 

寄生インダクタンスを模擬したモデル 

回路にインダクタンス成分が存在する場合、インダクタ成分による電流を流し続ける効果とスイッチによる電流を遮断しようとする効果が競合します。これらが存在する場合にはどのような応答になるか、シミュレーションで確認します。シミュレーションモデルでは、図3のとおり寄生インダクタンスとして1uHを与えます。寄生インダクタンスが存在した場合、どのような回路応答になるかを確認します。

図3 簡易降圧コンバータに寄生インダクタンスが存在するモデル

このモデルにおいてシミュレーションを実行すると出力波形は図4のとおりとなります。 

図4 寄生インダクタンスによりスパイク電圧が発生する

t = 0.009s や t = 0.0095 s 付近において非常に大きな電圧が発生していることが分かります。なぜ発生しているかというと、インダクタンス成分が電流を流し続けようとする一方、スイッチにより電流が遮断されているためです。この問題を解決するために瞬間的に電流変化を発生させる必要があります。その結果、インダクタンス成分の電圧は非常に大きなものになります。これをスパイク電圧などと呼んだりします。 

なお、本出力波形上はt = 0.0005sなどのスイッチングのタイミングではスパイク電圧が発生していないように見えますが、実際はスパイク電圧が発生しています。出力波形上に見えないのは、t = 0.009やt = 0.0095 sのオーダーと異なるためです。 

以上から、寄生インダクタンスがある状態でスイッチを遮断すると、電圧スパイクが発生すること、その発生原因が電流の逃げ道がないことがわかります。そこで、何らかの方法で電流の逃げ道を作ることを考えます。 

ダイオードにより、還流回路を設けたモデル

前記の電流の逃げ道の解決策として、図5のとおりダイオードが利用されます。ダイオードにより、スイッチがOFFになったときにも電流経路が確保されます。また、ダイオードは逆止弁のはたらきをするため、スイッチONの時に回路に悪影響をもたらしません。ダイオードを追加した場合、どのような回路応答になるか確認します。 

図5 簡易降圧コンバータに還流ダイオードを追加したモデル

このモデルにおいてシミュレーションを実行すると出力波形は図6のとおりとなります。 

図6 還流ダイオードによる効果
スパイク電圧の発生が抑制される

出力波形は矩形波となり、想定どおりの波形が得られています。寄生インダクタンス成分には瞬間的に電圧が発生していますが、10Vのオーダーであり、回路に大きな悪影響を及ぼすオーダーではありません。 

この波形で降圧することができていますが、矩形波を直流電源というのは無理があります。そこで、フィルタを追加して波形を滑らかにします。 

LCフィルタを追加した、降圧コンバータモデル 

降圧コンバータの出力段にLCフィルタを設けます。ローパスフィルタとしては、RCフィルタなどもありますが、抵抗での電流は有効電力として消費されてしまうため、LとCを利用し高効率化を目指します。

LCフィルタを追加したモデルが図7です。LCフィルタのパラメータとして、L=1mH, C=10uFを与えてみます。

図7 LCフィルタを追加したモデル(降圧コンバータのモデル)

このモデルにおいてシミュレーションを実行すると出力波形は図8のとおりとなります。  

図8 降圧コンバータの出力波形

出力波形は矩形波状ではなくなりました。本シミュレーション条件では4~6Vの間を振動する波形になります。この時の振動を抑制したい場合は、LCフィルタのパラメータやゲート生成回路のキャリア周波数を変更する必要があります。 

 なお、ここまでのシミュレーションにおいてDutyを変動させていませんが、Dutyを変更することで出力電圧を調整することが可能になります。 

まとめ

降圧コンバータをSimscapeでモデリングし、動作を確認しました。ポイントは以下のとおりです。 

  • 降圧コンバータをステップバイステップで確認していき、各回路素子の役割を習得した。 
  • 降圧コンバータを用いて直流電圧を下げることができる 
  • 出力電圧はDutyを変化させることで、任意の値にできる 

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