直流モーターの励磁方式

別ページにて直流モータの概要を紹介した際、永久磁石による磁界を想定しました。実際には、様々な磁界の発生方式が存在しています。ここでは磁界の発生方式と、励磁回路を含めた等価回路を紹介します。

励磁方式の全体像

磁界の発生させ方は、永久磁石のほか電磁石によるものがあります。永久磁石では安定した磁束が供給される一方、電磁石は流す電流により磁束が変わります。そのため、磁界の発生方式により、直流モーターの特性が変わります。そのため、励磁方式に注目することは非常に重要です。
 
励磁方式としては永久磁石を利用した方式1つと電磁石を利用した方式4つがあります。以下では各方式の詳細を見ていきます。

永久磁石式

永久磁石式のイメージを図1に示します。永久磁石では、磁石の磁束を利用するので、安定した磁束が供給されます。

図1 永久磁石式の動作イメージ

構造が簡単ではありますが、磁束を制御できない、磁石素材によっては高価になるといった課題があります。

他励式励磁方式

他励式は電機子巻線とは別に励磁回路を設ける方式です。イメージを図2に示します。

図2 他励式の動作イメージ

他励式では、永久磁石の代わりに界磁巻線を使用しています。磁束の大きさは界磁電流Ifにより決定されますが、Ifは励磁回路の電源により簡単に制御できます。一方で、電機子回路とは独立した励磁回路が必要であり、装置が大型化しやすいと言ってデメリットが存在します。

分巻式励磁方式

励磁回路を用意するのは大変なので、電機子電源を利用して励磁も行います。方法の一つは分巻式となります。分巻式のイメージを図3に示します。

図3 分巻式の動作イメージ

分巻式では界磁巻線が電機子巻線と並列に接続されています。その結果、界磁巻線には電源電圧が印加されます。モーターの負荷変動により電機子電流が変動しますが、その影響を受けずに磁束を供給することができます。そのため、後述する直巻式と比較して回転速度を一定に保つことが可能になります。

直巻式励磁方式

分巻式と同様に、電機子電源を利用して励磁を行います。直巻式のイメージを図4に示します。

図4 直巻式の動作イメージ

直巻式では界磁巻線が電気氏巻線と直列に接続されています。その結果、界磁巻線に流れる電流は電機子巻線に流れる電流と一致します。モーターの負荷変動により電機子電流は変動しますが、界磁巻線もその影響を受けることになります。高負荷の時、電機子電流が増大するとともに界磁電流も増加するため、大きなトルクを出力することが可能になります。

複巻式励磁方式

分巻式と直巻式を組み合わせた方式が複巻式になります。和動複巻式と差動複巻式がありますが、和動複巻式が利用されるため、こちらの紹介をします。分巻式は速度が安定している点、直巻式は高負荷においてトルクを出力できる点がメリットでした。このメリットを両取りしたものが複巻式となります。複巻式のイメージを図5に示します。

図5 複巻式の動作イメージ

複巻式では分巻式と直巻式の励磁回路の双方を利用します。一般に分巻式で作る磁束と直巻式で作る磁束は同方向となっており、磁束を強めあう関係にあります。

モーターの負荷が小さい場合の磁束は分巻式の回路から供給され、安定した速度を得ることができます。モーターの負荷が大きい場合の磁束は直巻式の回路から供給され、大きなトルクを得ることができます。このように直巻式と分巻式のメリットを利用した回路が複巻式となります。

まとめ

このページでは直流モーターの励磁方式について紹介しました。ポイントは以下のとおりです。

  • 直流モーターは電機子と界磁の相互作用にて動作します。そのため、励磁方式を把握する必要があります。
  • 励磁方式としては主に永久磁石式、他励式、分巻式、直巻式、複巻式があります。
  • 永久磁石式は永久磁石にて磁束を供給する方式です。構造が簡単ですが、制御できない・高価などの課題があります。
  • 他励式は界磁回路を設ける方式です。負荷に応じた制御は容易ですが、別途回路を設けるために大型化しやすいという課題があります。
  • 分巻式は界磁巻線を電機子巻線と並列に接続する方式です。速度が安定するというメリットがあります。
  • 直巻式は界磁巻線を電機子巻線と直列に接続する方式です。高トルク出力が可能というメリットがあります。
  • 複巻式は分巻式と直巻式を組み合わせた方式です。低負荷時の速度が安定し、高トルク出力が可能となります。
タイトルとURLをコピーしました