直流モーターの概要

日常生活において、電気を利用してものを動かすといったケースが多くあります。言い換えると、電気エネルギーを機械的エネルギーに変換するケースが多くあります。このようなことを行える機器として、電動機(モーター)があり、世の中に広く普及しています。電動機としては、大きく分けて、直流電動機・誘導電動機・同期電動機があります。ここでは、直流電動機の概要を紹介します。

直流モーターの基本構造

直流モーターの基本構造を図1に示します。

図1 直流モーターの基本構造
磁束中に電流が流れることで電磁力が働く

モーターには磁界を作るもの(界磁)と電気を流すもの(電機子)が配置されています。図1では磁界を作るものとして永久磁石が、電気を流すものとして巻線が配置されています。また、一般に、界磁と電機子は一方が固定され(固定子)、一方が回転します(回転子)。図1の場合では、界磁が固定子となり、電機子が回転子となります。

この巻線には電源が接続される端子が存在します。電源を接続することで、回転子が回転しはじめます。

直流モーターのトルク

図1の直流モーターにおいて、回路に電流が流れると、磁界と電流の相互作用によりローレンツ力が発生します。発生するローレンツ力は次の式で表すことができます。

$$ F=IBL$$

また、ローレンツ力の向きはフレミングの左手の法則で示される向きに発生します。

モーターは並進運動ではなく回転運動を行うので、トルクについて考えます。トルクは回転軸からの腕の長さと力の大きさの積で表すことができます。つまり次の式に従います。

$$ \tau = IBL \times R\cos{\theta}$$

以上のローレンツ力やトルクについて整理したものを図2に示します。図2は紙面奥方向に流れる導線に発生するローレンツ力を整理しています。

図2 ローレンツ力発生の様子
フレミング左手の法則にしたがった方向にローレンツ力が発生する

図1の構造を持つモーターの場合、紙面奥方向に流れる導線と紙面手前方向に流れる導線にてローレンツ力が発生しますが、このローレンツ力は双方ともモーターを時計回りに回転させる力が発生しています。

なお、図2において、\( \theta = \frac{-\pi}{2},\frac{\pi}{2}\)においてトルクが0となり、その角度の前後でトルクが逆方向に発生してしまいます。そこで、\( \theta = \frac{-\pi}{2},\frac{\pi}{2} \)において電流の向きが反転するように整流子というものが取り付けられています。

このようにモーターの巻線にトルクが発生することで、直流モーターは回転することができます。

直流モーターの逆起電力

モーターは磁束の中を回転しています。したがって、モーターを貫く磁束の数は時々刻々と変化しています。磁束の数が変化するということは、ファラデーの法則にしたがい誘導起電力が発生します。モーターにおいては逆起電力と呼んだりします。磁束中を回転している様子を図3に示します。

図3 逆起電力発生の様子
磁束の変化を妨げる方向に逆起電力が発生する

ファラデーの法則にしたがうので、逆起電力は次の式で表現することができます。

$$ v = \frac{d \phi}{dt} = B \frac{dS}{dt}$$

磁束が鎖交する面積は、回転角度に依存するので次の式で表されます。

$$ S = RL \sin{\theta}$$

電機子が角速度ωにて回転しているとすると逆起電力は次の式に従います。

$$v = B \omega RL \cos{\theta}$$

トルクと逆起電力の関係

ここでトルクと逆起電力の式を整理します。また、正弦波上に変化するのを考えるのは手間ですので、振幅について考えていきます。

トルクにおいて、B,R,Lは定数なので、トルク係数Ktを用いて次のように表されます。

$$ \tau = IBLR = k_t I$$

従って、トルクは電流に比例することが分かります。

また、逆起電力においてもB,R,Lは定数なので、逆起電力係数Keを用いて次のように表されます。

$$v = B \omega R L = k_e \omega$$

従って、逆起電力は角速度に比例することが分かります。

さらに、二つの式を考えると、トルク係数も逆起電力係数もB,R,Lの積であり等しいということが分かります。

$$k_e = k_t$$

直流モーターの等価回路

直流モーターには直流電源を接続します。直流モーターの基本的な等価回路は図4右側のとおりになります。

図4 直流モーターの等価回路
抵抗とインダクタと逆起電力の3要素を考慮することでモデリングできる

モーターは巻線ですので、巻線に伴い抵抗RaやインダクタンスLaが発生します。また、回転に伴い逆起電力Eが発生します。モーターの電気回路的特性を把握するためには、図4のような回路を用いて考察を行います。

まとめ

このページでは、直流モーターの概要を紹介しました。ポイントは以下のとおりです。

  • 直流モーターでは、磁界中に電流を流すことで発生するローレンツ力により、回転させます
  • モーターを回転させる力、すなわちトルクは電流に比例します。
  • 導線が磁束中を回転するため、起電力が発生します。この起電力は角速度に比例します。
  • モーターの等価回路を紹介しました。この回路を用いることで、電気的な特性を考察することができます。
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