ダイオードによる三相全波整流回路のシミュレーション

別ページにて三相全波整流回路の動作原理を紹介しました。このページでは、Simscapeを利用して、三相全波整流回路の動作を確認します。

回路構成とシミュレーション結果

図1のとおり、シミュレーションモデルを作成します。3相交流電源は6600Vです。三相全波整流回路を経由して、負荷抵抗に電圧を印加します。

図1 三相全波整流回路のシミュレーションモデル

このシミュレーションモデルを利用して得られた、電源電圧と出力電圧のシミュレーション波形を図2に示します。

図2 三相全波整流回路の出力波形
電源の3相交流に対して、緑色の通り直流電圧を出力できる

線間実効値6600Vの3相交流電源から、約9000Vの直流電圧を取り出すことができています。この出力電圧は負荷の正側電圧と負側電圧の差分から構成されます。正側電圧と負側電圧を測定したものが図3です。

図3 負荷の正側と負側電圧の電位波形
正側電圧は最大値選択を、負側電圧は最小値選択を行う

正側電圧は最大値選択回路の結果、3相交流電源の最大電圧が得られます。負側電圧は最小値選択回路の結果、3相交流電源の最小電圧が得られます。この差分が出力電圧になります。

出力電圧の平均値測定

出力電圧の平均値は約6600×1.35 = 8910Vと計算されています。シミュレーション結果が一致するか確認します。ここでは、移動平均を取得して平均電圧を求めます。

移動平均を取得するために図4のとおりMovingAverageブロックを使用します。基本周波数には電源周波数の6倍の値を入力します。今回のシミュレーション条件は50Hzの電源電圧を利用しているので、6倍の300Hzを入力します。

図4 Moving Averageブロック
電圧平均値を取得するために使用

その結果得られた波形が図5です。紫色の波形が直流電圧(緑)の平均電圧を示しています。カーソル機能を利用して値を取得すると、8908Vとなっており、1.35Vsの値とほぼ一致することが分かります。

図5 負荷電圧の平均値をカーソル機能で取得したもの
右側の値から、平均電圧が8908Vとなっていることがわかる

電流経路の確認

三相全波整流回路の電流経路も確認します。Scope+CurrentSensorは手間なので、シミュレーションデータインスペクタ機能を利用します。

図6のとおり設定をします。この設定により、Simscapeの計算結果が保存され、シミュレーションデータインスペクタ機能を活用できるようになります。

図6 Simscapeのログ機能の設定

この設定を実施したのち、再度シミュレーションを実行するとシミュレーションデータインスペクタボタンが光るので、こちらをクリックします。すると図7のようにシミュレーションデータインスペクタウィンドウが立ち上がり、グラフ描写ができるようになります。

図7 データインスペクタによるデータの可視化

今回はダイオードの電流と電源電圧を表示してみましょう。設定結果が図8になります。三相交流の位相に合わせてU~Z相のダイオードが導通していることが分かります。図8では、交流a相が30~150°の場合を強調表示しています。このタイミングでは上側アーム(U,V,W相のこと)ではU相が選択されています。下側アーム(X,Y,Z相のこと)ではY相からZ相に転流が起きていることが分かります。この波形を詳細に見ていくことで、別ページにて記載した電流経路になることが確認できます。

図8 データインスペクタによるダイオード電流の確認(30~150°の場合)
上側はU相が導通しています。下側はYからZ相に転流しています

まとめ

このページでは、ダイオードによる三相全波整流回路のシミュレーションを行いました。ポイントは以下のとおりです。

  • 原理どおり、負荷の正側電圧、負荷の負側電圧、出力電圧が得られることが分かりました。
  • 平均値を取得するために、Moving Averageブロックを使用し、手計算通りの結果を得ることができました。
  • 電流経路を理解するために、シミュレーションデータインスペクタ機能を使用し、電源とダイオード電流の関係を理解しました。
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