変圧器の無負荷試験と短絡試験

別ページにて、変圧器の等価回路を導出しました。この中で、変圧器のパラメータは無負荷試験と短絡試験にて算出することができると記述しています。このページでは、これらの試験を用いてどのようにパラメータを算出するかを紹介します。

変圧器の無負荷試験

無負荷試験の概要と回路パラメータの導出方法を紹介します。

変圧器の無負荷試験の概要

無負荷試験とは、変圧器一次側に定格電圧を印加し、変圧器二次側を開放する試験です。この時の簡易等価回路を図1に示します。

図1 変圧器の無負荷試験の様子
変圧器の2次側回路は解放とすることで、磁気回路の特性を計測することができる

この試験を行うことで、鉄損や無負荷電流や変圧器の励磁特性を測定することができます。

回路パラメータの導出

試験結果から回路パラメータを導出していきます。無負荷試験を行うことで、一次巻線電流、一次巻線電圧、一次巻線電力などを測定できます。

無負荷試験を行った場合、消費される有効電力は励磁回路のコンダクタンス(抵抗)によるものになります。つまり次の式で表されます。

$$ P_{0} = G_{0} V_{1}^{2}$$

この式を変形すると、励磁回路の抵抗は次の式で表されます。

$$ G_{0} = \frac{P_{0}}{V_1^{2}}$$

V1とP0はそれぞれ、電圧計、電力計で測定できるので、励磁回路のコンダクタンスを計算することができます。

抵抗はコンダクタンスの逆数なので次のとおりになります。

$$ R_{c} = \frac{1}{G_{0}}$$

また、変圧器の励磁回路のサセプタンスは次のとおりです。

$$ Y_{0} = \sqrt{G_{0}^2 + B_{0}^2}$$

一方、電流と電圧は変圧器の励磁回路のアドミッタンスを用いて次のように表されます。

$$Y_{0} = \frac{I_0}{V_0}$$

これらの式から次のとおり整理できます。

$$ \sqrt{G_{0}^2 + B_{0}^2} = \frac{I_0}{V_0}$$

励磁回路のサセプタンスに注目すると次のとおりです。

$$B_0 = \sqrt{(\frac{I_0}{V_0})^2 – G_0^2}$$

V1とI0はそれぞれ電圧計と電流計で測定可能であり、かつG0は前述のように計算可能であるため、励磁回路のサセプタンスも計算することが可能です。

なお、リアクタンスはサセプタンスの逆数なので次のとおりです。

$$X_m = \frac{1}{B_0}$$

以上のとおり、無負荷試験を行うことで、励磁回路のパラメータを導出することができます。

変圧器の短絡試験

短絡試験の概要と回路パラメータの導出方法を紹介します。

変圧器の短絡試験の概要

短絡試験とは、低圧側巻線を短絡して行う試験です。高圧側巻線には交流電圧を低圧から印加します。電圧を徐々に上げていき回路に定格電流が流れるところで測定を行います。この時の様子を図2に示します。

図2 変圧器の負荷試験の様子
変圧器の二次側は短絡することで、磁気回路の影響を無視することができる

この図では、変圧器1次側が高圧であり、二次側を短絡した短絡試験の様子を示しています。なお、短絡試験の電力計が指す電力は銅損であり、電圧計が指す電圧はインピーダンス電圧となります。

この試験を行うことで、変圧器の巻線抵抗や漏れインダクタンスを測定することができます。

回路パラメータの導出

試験結果から回路パラメータを導出していきます。無負荷試験を行うことで、一次巻線電流、一次巻線電圧、一次巻線電力などを測定できます。

無負荷試験を行った場合、消費される有効電力は巻線抵抗によるものになります。つまり次の式で表されます。

$$P_0 = (R_1 + a^2 R_2) I_0^2 = R_s I_0^2$$

この式から、巻線抵抗の合成値は次のとおりになります。

$$ R_s = \frac{P_0}{I_0^2}$$

P0とI0はそれぞれ電力計と電流計で測定可能であるため、巻線抵抗の合成値は計算可能になります。

また、変圧器の閉回路のインピーダンスは次のとおりです。

$$Z_s = \sqrt{R_s^2 + X_s^2}$$

一方、電流と電圧は変圧器の励磁回路のインピーダンスを用いて次のように表されます。

$$Z_s I_0 = V_1$$

これらの式から次のとおり整理できます。

$$R_s^2 + X_s^2 = (\frac{V_1}{I_0})^2$$

閉回路のリアクタンスに注目すると次のとおりです。

$$X_s = \sqrt{(\frac{V_1}{I_0})^2 -R_s^2}$$

V1とI0はそれぞれ電圧計と電流計で測定可能であり、かつRsは前述のように計算可能であるため、漏れリアクタンスも計算することが可能です。

以上のとおり、短絡試験を行うことで、内部抵抗と漏れインダクタンスの値を導出することができます。

まとめ

このページでは、変圧器の無負荷試験と短絡試験の概要を紹介しました。ポイントは以下のとおりです。

  • 変圧器の無負荷試験と短絡試験を行うことで、回路パラメータの導出が可能になります。
  • 無負荷試験は変圧器二次側を開放にして行う試験です。この時に流れる電流は励磁回路由来のものであり、試験結果を利用することで、励磁回路のパラメータを導出することができます。
  • 短絡試験は変圧器低圧側を短絡して行う試験です。この時に流れる電流は巻線抵抗と漏れインダクタンス由来のものであり、試験結果を利用することで、これらのパラメータを導出することができます。
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